ぶらっと清水【第19回】フェルケール博物館を探検!(1)/ Exploring the Verkehr Museum: A Journey into the History of Shimizu Port
- 山内 真一
- 5月12日
- 読了時間: 15分
更新日:5 日前
<今日のお散歩まとめ>
フェルケール博物館はレンガ造りの建物で、港町・清水を意識したデザインになっている
建物のレンガには船長の階級を表す4本線がデザインされ、入口前の池は錨の形を模している
ランプやドアの取っ手など、館内外の装飾には港で使われる「手鉤(てかぎ)」がモチーフとして取り入れられている
入館直後の真鍮製のドアの上部にはカモメのシルエットもデザインされている
館内には、秋篠宮殿下と紀子様が訪れた際の記念写真が展示されている
昔の清水港は現在のフェルケール博物館の敷地まで海が広がっていた
明治12年に波止場が整備され、清水港の近代化が始まった
かつてこの地には鈴木与平商店をはじめとする荷扱いの商店が立ち並び、博物館設置の地として選ばれた
昭和53年に港の資料を集めた「清水港湾資料館」としてプレハブでスタート
平成3年に現在のレンガ造りの建物へ発展し、50年以上の歴史を持つ博物館となった
博物館前には旧臨港線の線路があり、当時の風景を記録した写真が現存している
フェルケールとはドイツ語で「交通」「流通」「交流」を意味し、京都大学でのゼミ名に由来している
The Verkehr Museum is a brick building designed with a strong port-town theme
The building features four yellow lines in the bricks, symbolizing the rank of a ship captain
The pond in front of the entrance is shaped like an anchor when viewed from above
Hooks called "tekagi," used in port work, are featured in lamp and door handle designs throughout the museum
A seagull silhouette is also integrated into the brass doors at the entrance
Inside, a commemorative photo of Prince Akishino and Princess Kiko's 2019 visit is displayed
The sea once extended up to the current museum site, making it the center of the old Shimizu port
In 1879, a modern quay was constructed, beginning Shimizu’s modernization as a port
The site once hosted stores like Yohei Suzuki's for cargo handling, making it a fitting location for the museum
The museum began in 1978 as a prefab facility called "Shimizu Port Archive"
In 1991, the current brick museum building was completed, now holding over 50 years of accumulated history
Photos remain showing the area when the former Rinko Line railroad passed in front of the museum
"Verkehr" is a German word meaning "transportation," "distribution," and "interaction," inspired by a university seminar name at Kyoto University
【提供】
いつかきっと会えるよね、鈴与グループ。
日の出で遊ばう、清水港振興。
静岡商工会議所の、魅力ある清水を創る会。
静岡の観光振興を推進する、公益財団法人するが企画観光局。
【ぶらっと清水 第19回】
ぶらっとフェルケール博物館!
波音ちゃんさあ、今週は「フェルケール博物館」をぶらっと探検してみましょう!
椿原さんはい。フェルケール博物館は、清水港の歴史を紹介する博物館なんですが、建物の外観からもう“港らしさ”満載なんですよ。
波音ちゃんたしかにレンガ造りの立派な建物ですよね。茶色のレンガの中に4本の黄色い線が入ってるの、何か意味があるんですか?
椿原さん実はそれ、船乗りの制服にある「階級線」を表してるんです。4本線は船長さん。まさに港にふさわしいデザインですね。
波音ちゃんおお〜細かいこだわり!そして博物館前の広場、丸い池が特徴的ですよね。
椿原さんそうなんです。上から見ると、なんと「錨(いかり)」の形になってるんですよ!
波音ちゃん錨の形!それは気づきませんでした!じゃあ、入口のライトの形も何か意味が…?
椿原さんその通り。ライトのデザインは「手鉤(てかぎ)」といって、マグロや氷を引っ掛けて運ぶための港の道具なんです。
波音ちゃんえーっ!ドアの取っ手にも手鉤がデザインされてるし、よく見たらカモメの形にもなってますね!
椿原さんはい。細部まで港の道具や自然を意識した装飾になっているんですよ。
波音ちゃんまさに“見る博物館”。入ってすぐのところには写真も飾られてますね。
椿原さん令和元年に秋篠宮殿下と紀子様がご来館されたときのものです。そのとき「缶詰記念館」を特に見たいと仰っていて、ご案内しました。
波音ちゃんじゃあ、あの缶詰記念館にも後で行ってみたいです!ところで、この辺りって昔は港だったんですか?
椿原さんそうです。今の浪漫館や水上交番あたりまでが港で、船が出入りしていました。この博物館の場所も、かつては貨物を集める商店が立ち並んでいたんです。
波音ちゃんその歴史を伝えるのにぴったりの場所ですね。博物館が始まったのはいつ頃なんですか?
椿原さん最初は昭和53年にプレハブの「清水港湾資料館」として始まりました。その後、資料が集まり、平成3年に今のレンガ造りの建物が完成しました。資料集めから数えると、なんと50年以上の歴史があるんですよ。
波音ちゃんそんなに長い歴史があるなんて…感動しちゃいます。じゃあ、昔の様子がわかる写真なんかもあるんですか?
椿原さんありますよ。臨港線の電車から撮られた博物館周辺の写真が残っていて、昔の風景を知る貴重な資料です。
波音ちゃんちなみに、「フェルケール」ってどういう意味なんですか?
椿原さん「フェルケール」はドイツ語で「交通・流通・交流」という意味なんです。7代目鈴木与平さんが学生時代に所属していたゼミの名前からとったそうですよ。
波音ちゃん素敵な名前ですね〜。歴史も文化も詰まった博物館、ますますじっくり見たくなってきました!
【観光案内ガイド風】
ようこそ!清水へ!
今日は、清水港の歴史と深い結びつきをもつ「フェルケール博物館」をご案内いたします。
まず目の前にあるこの立派なレンガ造りの建物をご覧ください。茶色いレンガの中に黄色い線が4本入っているのが見えますか?これは、船乗りの制服の袖に付いている階級線を模していて、4本線は船長の印です。つまり、この建物全体が「港」をテーマにデザインされているんです。
そして入口前の広場には、半円形の池がありますね。上から見ると、実はこれ「錨(いかり)」の形になっているんです。細部にまで港町・清水らしさが込められています。
入口のライトも見てください。フックのような形をしていますね。これは「手鉤(てかぎ)」といって、港でマグロや氷などを運ぶために使われていた道具をモチーフにしています。取っ手や照明器具、受付の背後のランプまで、館内の至るところにこのデザインが活かされています。
そして中に入ると、最初に目に入るのが真鍮製の重厚なドア。その取っ手も手鉤型ですが、上を見上げるとカモメの姿が浮かび上がってきます。これもすべてこの博物館のためにデザインされたものです。
入口上部の写真には、令和元年に秋篠宮殿下と紀子様がご来館された時の様子が写っています。清水港開港120周年の記念式典の際、「缶詰記念館」を特にご希望されて訪れたそうです。
さて、受付を越えてホールに入ると、左正面に「ロマン館」というビルが見えますね。実は、昔はその建物の場所まで海が入り込んでいたんですよ。この博物館の場所が、かつての港の中心地だったのです。
明治12年には、ここに波止場が作られ、日本で最初期の近代港湾が誕生しました。その後、清水港は急速に発展していきました。
昭和53年、港の道具や資料を集めた「清水港湾資料館」がプレハブで誕生。その後、平成3年に現在のレンガ造りの博物館が完成し、今に至ります。資料収集から数えると、なんと50年以上の歴史を持つ博物館なのです。
最後に、博物館の名前「フェルケール」は、ドイツ語で「交通」「流通」「交流」を意味します。人と人、物と物のつながりを表すにふさわしい、素敵な名前ですね。
それでは、このあとは館内の展示へと進んでいきましょう。どうぞ、お楽しみに!
Welcome to Shimizu!
Today, I’ll be guiding you through the Verkehr Museum, a place that tells the rich history of Shimizu Port.
Let’s start with the impressive brick building in front of us. Can you see the four yellow lines running through the brown bricks? These represent the rank insignia worn on the sleeves of ship officers’ uniforms—four stripes indicate a captain. The entire design of this building reflects its close connection to the sea.
Now, look at the semicircular pond near the entrance. From above, this area is shaped like an anchor! Every element of the building incorporates maritime symbolism.
Notice the lamps near the entrance—they look like hooks. These are modeled after “tekagi,” traditional hooks used in the port to move tuna or blocks of ice. You'll find this motif throughout the museum—in the door handles, light fixtures, and even the lamps behind the reception desk.
Inside, one of the first things you'll see is a large brass door. Its handle is shaped like a tekagi, and if you look up, you'll see the silhouette of a seagull. These custom features were designed specifically for this museum.
Above the entrance, there's a photo showing Prince Akishino and Princess Kiko visiting in 2019 during the 120th anniversary celebration of Shimizu Port. They were especially interested in the Canning Museum, which we’ll visit later.
Now, as we enter the hall and turn around, you’ll see a building called “Roman-kan” in front of us. Believe it or not, the sea used to reach all the way to that point. This museum stands at what was once the heart of the port.
In 1879, one of Japan’s earliest modern quays was built here, launching the modernization of Shimizu Port.
In 1978, Mr. Yohei Suzuki began collecting port tools and history in a prefab building called the Shimizu Port Archive. Over time, this collection grew, and in 1991, the current brick museum was established. Counting from the initial collections, the museum has over 50 years of history.
Finally, the name “Verkehr” comes from German, meaning “traffic,” “distribution,” and also “interaction.” It's a perfect name for a museum that celebrates the flow of people, goods, and culture.
Let’s continue our journey and explore the exhibits inside. Enjoy your visit!
【放送内容のテキスト文面】
さあ、今週はフェルケール博物館の中をぶらっとしてみましょう。
フェルケール博物館には何度か来たことがありますが、博物館自体の歴史や案内展示の詳しい解説をしっかり聞いたことがありませんでした。
椿原さん今回はフェルケール博物館について詳しく教えてください。
はい。
今レンガ造りの建物の中入ってきましたけども、レンガで作ってるっていうのは、もう港と想起させるような風景になってますけどね。
右と左にちょっと出っ張ったところありますけども、レンガの色変わってますでしょ。
茶色のレンガの中に4本黄色い線が入ってますけども、あの4本黄色い線が入るっていうのは、船長さんの腕のところに4本線が入ってるっていう、それの意味だと思います。
船に乗っている方の制服の袖に、階級を表す線が入っていますよね。
フェルケール博物館の外観にあるこのラインはそれを意味しているんですか。
すごく港を意識した建物になってます。
それからずっと今、池があって、半円形といいますか、円になってますけども、これ上から見るとちょっと想像してみてください。
玄関のところにまっすぐ向かってますけども、今、私達がいるところが円を描いてる。
これ上から見ると、なんか似てませんか?
えー・・・丸く乗って行って、真ん中から曲線が繋がっている形ですかあ。
これもきっと海に関係があるものですよね。
あ!これって錨の形に似てませんか?
そうなんです。
錨の形を描いていますね。
はい。その錨の根本の部分をちょっとたどっていくと、玄関になりますけども。
どうでしょう?
この右と左にライトが設置されていますけども、このライトのデザイン、何か、鎌のようなデザインが、6本、5本ですか、、、6本の鎌のようなもので、ライトのシェードが、デザインされてますけど。
これ、マグロとか、それから氷とか、港で使われるものを引っ掛けて引っ張る、はい、手鉤(てかぎ)ていうんですけども、それをデザインして作られてます。
ランプの装飾をよく見てみると、フックのようなものがいくつか組み合わせていますね。
こんな細かいところにも、海に関連するものが使われているんですね。
実を言うと、このフェルケール博物館は、ものすごく、港を意識してデザインがされておりますので、建物も注意をして見ていっていただきたいと思います。
皆さん、建物も楽しみに入館される方が多いものですから、今、外から来たんでわかりにくいんですけども。
入ってすぐ、右と左に真鍮製のっていうんですかね、あの大きなドアがありますけども、これもよく見ていただくと、取っ手の部分が先ほど言いました手鉤になってますよね。
ドアの取っ手の部分にも、さっきのライトについていたものと同じ手鉤になっていますね。
はい。その取手の部分なんですけども、同じ手鉤がデザインされてるんですけど、上へずっと見ていきますと、ほら、かもめになってるんですよ。
わかりますか。
かもめになってますよ。
これもこの博物館の建物のためにデザインをされてます。
そして、ガラスのドアを入りますけども、このガラスのドアの取っ手も手鉤になってますので。
それから、中に入って、左右、受付の方もおりますけども、この背後のランプ、こちらも手鉤をデザインして、作ってあります。
これ博物館の中のいろんなところに設置されているライトが、この手鍵をモチーフにして作られております。
フェルケール博物館では展示しているものだけでなく、外観や装飾にも注目すべきポイントがたくさんあるんですね。
細かいこだわりを探すのも楽しみのひとつかもしれません。
では、案内入っていきましょう。
このライトの上なんですけども、高い位置に写真がありますけども、こちらは、令和元年の7月の17日ですけども、秋篠宮殿下が、紀子様とこちらにご来館されたときに、撮影された写真になります。
清水港開港120周年の記念式典で秋篠宮殿下がいらっしゃったときのものですよね。
このフェルケール博物館にもいらっしゃっていたんですか。
秋篠宮殿下と紀子様と一緒に博物館の理事長と椿原さんも写ってますね。
三保の方から回ってこられたんですけども、やはり、清水の港の歴史を紹介する博物館ということで、こちらを見学いただきましたけれども。
特にですね、缶詰記念館を見たいというご希望が強かったものですから、はい、理事長とともにご案内させていただきました。
秋篠宮殿下も楽しまれたという缶詰記念館、ぜひ後で見に行きましょう。
まずは入口近辺の注目ポイントは、この写真の他に何かありますか。
はい。
先にですね、今、受付を超えて中のホールに入ってきましたけども、振り返っていただいて、外の方をちょっと見ますね。
そうすると左の正面に大きなビルが見えますよね。
これロマン館という建物なんですけども、あそこの浪漫館のある場所まで、本来は海が入り込んでいたんです。
昔はこのフェルケール博物館の目の前まで海があったんですか。
現在は客船などが入ってくる岸壁から少し離れた位置にありますが、当時は今いるここら辺が、港の中心地だったんですね。
はい、実は、ロマン館のある場所、それから今の水上交番までが、四角く、船が入る船入、明治12年に初めて外海に面した部分に近代的な港湾施設、波止場が作られたんですね。
ですので、その波止場の前、この博物館の建っている場所に、鈴木与平商店であったりとか、他の荷物を集めて、積み込むための商店が並んでいたんですね。この辺りで。
その場所に博物館をつくることが、一番、清水の港の歴史を後に伝えるためにもいいだろうということで、こちらに博物館が作られております。
波止場が作られ、近代化していく清水港の歴史を、後世と残していくには、ぴったりな場所ですね。ここから今の清水港へと発展していったんですね。
はい。それで昭和40年代なんですけども、かなりもう日本が高度経済成長の時期に入ってきましたよね。
そういうこともありまして、清水の港の風景、かなりどんどんどんどん変わっていっていました。
それで、今の8代目の鈴木与平さんの先代がですね、どうにか港の風景であったりとか、歴史であったりとか役割を、後世に伝えたいということで、この博物館ができる前ですね、ここは空き地になってたですけども、プレハブを建てて、その頃はおそらくあまり珍しくもなかったであろう、先ほど言ったあの手鉤であったりとか、クレーンであったりとか、そういった、港で使う道具類を集めていったんですよね。
あのフェルケール博物館がなかったら、昔の清水港がどんなだったのか、知る機会はなかったんじゃないかと思うと、しっかりその歴史を残していこうと動いてくれた、先代の鈴木与平さんには感謝ですね。
当時よく使われていた手鉤も、今では関係者でなければ、ほとんど見る機会のない道具なので、一般の方でも見ることができる施設というのは、とっても重要です。
で・・・昭和53年になって、いろいろ資料も集まったからということで、ぜひ皆さんにそういったものを見ていただきたいということで、まずはプレハブ造りで、清水港湾資料館という形で展示を始めています。
それを後にですね、だんだんだんだん、博物館としても発展をして行きましたので、平成3年に現在のこのレンガ造りの建物になって、30数年を経て、今のフェルケール博物館があるということになります。
ですので、一番最初に、資料館、博物館を作りたいと考えて、荷物とか資料をね、集積し始めたから数えるともう50年以上をかけて現在のような状況になっているということです。
なんとこのフェルケール博物館は、資料集めからスタートして50年もの長い歴史があるんですか。
今でこそ、こんな立派な建物がありますが、プレハブだった当時の様子がわかる写真や資料なんかは残っているんでしょうか。
この博物館の前ですね、先ほど言いました浪漫館のところに、昔、あの臨港線っていう線路が通ってましたよね。
その臨港線の電車の中から、こちらを振り返ってみた写真が残ってます。
この博物館の前がちょっと駐車場等、空き地のような感じになっていて、ヨットであったりとか、それから電車の貨車かな、あれは電車が何かありましたね。
奥には缶詰記念館の昔の建物がちゃんと映っていたから、このレンガ造りの建物よりも、缶詰記念館の方が先輩だってのがよくわかります。
そういったあの写真も残ってますね。
その写真はぜひ見てみたいですね。
そういえば、最初は清水港湾資料館という名前で始まったこの博物館ですが、今のフェルケールとは、どういった意味が込められているのですか。
いい質問ですね。さすがです(笑い)
フェルケール博物館のフェルケーツというのは、ドイツ語で「交通」であったり「流通」という意味だそうです。
先ほど紹介した7代目の鈴木与平さんが京都大学にの学生だったときに、ゼミの名前が「フェルケール」であったそうです。
それで、その名前に触発されまして、交通、流通だけでなく、交流、人が交わるという意味もありましたので、それで博物館の名称としてはいいだろうという事でフェルケール博物館という名前をつけております。