ぶらっと清水【第21回】フェルケール博物館を探検!(3)/ Exploring the Verkehr Museum: A Journey into the History of Shimizu Port(3)
- 山内 真一
- 4 日前
- 読了時間: 14分
<今日のお散歩まとめ>
フェルケール博物館内の展示を引き続き見学。
展示室1のジオラマの隣に「逆針の船磁石」を展示、進行方向を直感的に確認するために船で逆さにして使用された特殊なコンパス。
「大福帳」は江戸時代の出納帳を束ねたもので、店の信用や繁盛を示す目的で飾られていた。紐を解けば当時の物流や取引がわかる貴重な資料。
「駿府の漆器」展示では、漆器と寄木細工の歴史を紹介。駿府が発祥で、箱根の技術もここから伝わった。駿府の寄木細工は漆塗り、箱根は蝋仕上げ。
展示されている寄木細工はロンドンから戻った明治初期のレターボックスで、海外向けに作られたもの。
展示室2に茶箱が並ぶ中、「缶詰記念館」への案内がある。
缶詰記念館は1929年築の旧事務所を移設したもので、缶詰の歴史を紹介。
館外には旧国鉄臨港線の信号機も展示され、清水と三保をつないだ鉄道の名残が見られる。
次回は缶詰記念館の内部を詳しく紹介予定。
Continued the tour of the Verkehr Museum's interior exhibits.
Next to the diorama in Exhibition Room 1 is a "reversed ship compass," used upside down on ships to directly show the direction of travel.
The "Daifukucho" is a bundle of Edo-period account ledgers displayed in shops to demonstrate prosperity and trust; opening them reveals detailed historical trade data.
The "Suruga Lacquerware" exhibit highlights the region’s history with lacquerware and parquetry, originally from Suruga, later passed to Hakone. Suruga pieces use lacquer (brown tint), while Hakone uses wax (whiter finish).
The displayed parquetry piece is a letter box from the early Meiji era, returned from London, likely made to fulfill foreign orders.
In Exhibition Room 2, stylish tea chests are lined up; near the tobacco exhibit is a path to the “Canning Memorial Hall.”
The Canning Memorial Hall is a 1929 building that once served as the office for Shimizu Foods (now SSK), now dedicated to the history of canned foods.
Outside, a preserved signal post from the old national railway line connecting Shimizu and Miho Peninsula is also on display.
Next episode will explore the inside of the Canning Memorial Hall in detail.
【提供】
いつかきっと会えるよね、鈴与グループ。
日の出で遊ばう、清水港振興。
静岡商工会議所の、魅力ある清水を創る会。
静岡の観光振興を推進する、公益財団法人するが企画観光局。
【ぶらっと清水 第21回】
ぶらっとフェルケール博物館!(3)
波音ちゃん:さあ、今週もフェルケール博物館の中を、椿原さんと一緒にぶらっと見て回ります!前回は、入口付近の展示や、展示室1の大きなジオラマについて教えていただきましたよね。さて、このジオラマの隣に「逆針の船磁石」ってありますけど、これは何ですか?
椿原さん:これは、船で使われていたコンパスですね。ただ普通のコンパスと違って、文字盤が左回りになっているんです。通常、十二支は時計回りに並んでいますが、これは逆。船の先端に逆さに置くことで、進行方向が一目でわかるようになっているんです。
波音ちゃん:なるほど!逆さにするから、逆針なんですね。でも、普段見慣れた向きと違って読みにくそうです。
椿原さん:確かに日常生活では使いづらいですが、船上ではとても便利なんです。珍しい品で、見つけたらコレクター心をくすぐられますね。
波音ちゃん:へぇ〜。その隣に、河原の石みたいな丸いものが置いてありますが、これは…?
椿原さん:これは「大福帳」といって、江戸時代の商人が使っていた出納帳です。使い終わった帳面を何冊もまとめて巻いて、店の見える場所に積み上げていたんです。それが店の繁盛ぶりを示すアピールになっていたんですよ。
波音ちゃん:見せるための帳簿だったんですね。ちょっと見てみたい気もしますけど、紐を解くのはもったいないですね。
椿原さん:実は、中を見れば当時の物流の動きがわかる貴重な記録でもあるんです。開ければ研究資料としても価値があるんですよ。
波音ちゃん:なるほど…。次は「駿府の漆器」の展示ですね。これはどんな背景があるんですか?
椿原さん:駿府は昔、漆器と寄木細工の産地でした。箱根の寄木細工は有名ですが、実はその技術は駿府から伝わったんです。駿府の寄木細工は漆を塗っていて茶色っぽく、箱根のものは蝋を塗っているので白っぽいのが特徴です。
波音ちゃん:へえ〜、漆器と寄木細工もお茶と一緒に輸出されていたんですね。とっても精巧で綺麗!
椿原さん:そうなんです。職人の技術の高さがよく分かりますね。さあ、展示室2に行きましょう。茶箱が並んでいておしゃれですよ。
波音ちゃん:あれ?タバコの展示の横に「缶詰記念館」ってあります!行ってみたい!
椿原さん:あそこは博物館の外ですが、常設展示の一部です。では、行ってみましょう。
(外へ出る)
波音ちゃん:あ!レトロな建物ですね。これが缶詰記念館?
椿原さん:はい。昭和4年に建てられて、今は清水食品(SSK)の前身の事務所として使われていた建物を移設しています。館内には缶詰の歴史を伝える資料がたくさんあります。
波音ちゃん:あの信号塔は…?
椿原さん:あれは旧国鉄の臨港線で使われていたもの。清水から三保まで線路が続いていて、信号機を保存展示しています。
波音ちゃん:そんな貴重なものがここにあったとは!今日はここまでですが、来週は缶詰記念館の中をじっくり見せていただけるんですね。
椿原さん:はい、楽しみにしていてください。
波音ちゃん:椿原さん、今週もありがとうございました!また来週~!
【観光案内ガイド風】
ようこそ!清水へ!
本日は、フェルケール博物館の中をご案内します。前回ご覧いただいた入口付近の展示や、展示室1のジオラマに続き、今回はその周辺にある珍しい展示品を見てまいりましょう。
こちら、まずご注目いただきたいのが「逆針の船磁石」。普通のコンパスは時計回りに文字が並んでいますが、この磁石は左回り。なぜかというと、船の先端に逆さに置いて、進行方向を自然に目で確認できるよう工夫されているんです。船乗りだけが知っている“逆針”の知恵ですね。
続いてはこちら、丸くて大きな塊のようなもの。「大福帳」と呼ばれる出納帳を何十冊も束ねて、店の中に積み上げていたものです。これを見たお客さんは「この店は繁盛してる」と感じたわけですね。実際に紐を解けば、清水の港でどんな取引があったのか、物流の歴史までわかる貴重な資料なんです。
次にお見せするのは、「駿府の漆器」。静岡は昔、漆器と寄木細工の町として栄えていました。今では箱根が有名ですが、その技術はもともと駿府から伝わったもの。駿府の寄木細工には漆が塗られていて茶色っぽく、箱根のものは蝋仕上げで白っぽい。この違い、実物を見るとよく分かりますよ。
そしていよいよ展示室2へ。壁に並ぶ茶箱の奥、タバコ展示のそばに「缶詰記念館」へと続く道があります。外に出ると、昭和初期の趣きを残した建物が目に飛び込んできます。ここが缶詰記念館です!
この記念館は、かつて清水食品(現SSK)の事務所として使われていた建物で、缶詰の歴史を今に伝えています。隣には旧国鉄臨港線の信号機も保存展示されており、清水港の歴史を感じさせてくれます。
今日はここまでのご案内となりますが、次回はこの缶詰記念館の中をじっくり見学してまいります。どうぞお楽しみに!
Welcome to Shimizu!
Today, I’ll guide you through more hidden treasures inside the Verkehr Museum. Last time, we explored the entrance and the large diorama in Exhibition Room 1. Now, let's take a closer look at the unique artifacts nearby.
First, notice this unusual item: a "reversed compass." Unlike regular compasses, this one’s dial is counterclockwise. Why? Because it was placed upside down at the bow of a ship, making it easier for sailors to see the direction they were heading at a glance. A clever trick known only to seafarers!
Now over here, we see what looks like a large, round bundle. This is called a “Daifukucho”—a collection of old accounting books tied together and displayed in merchant shops during the Edo period. The more bundles you had, the more prosperous your shop appeared to be. And if you were to untie one, you'd find detailed records of trade through Shimizu Port—an invaluable resource for historians.
Next, we turn to the “Suruga Lacquerware” exhibit. Shizuoka was once known for lacquerware and parquetry. Although Hakone is now famous for such crafts, their origins actually trace back to Suruga. Lacquer is applied to Suruga pieces, giving them a brownish tint, while Hakone’s use wax, making them appear whiter. These details are best appreciated in person!
Now, let’s head into Exhibition Room 2. Beyond the rows of elegant tea chests, near the tobacco display, there's a sign pointing toward the “Canning Memorial Hall.” Just outside, you’ll find a charming old building—that’s it!
This memorial hall was once the office of Shimizu Foods, now known as SSK, and is dedicated to preserving the history of canning in Japan. Nearby, you’ll also see a preserved signal post from the old national railway line that once ran between Shimizu Station and the Miho Peninsula.
That concludes today’s tour. Next time, we’ll step inside the Canning Memorial Hall and explore its exhibits in detail. Stay tuned!
【放送内容のテキスト文面】
さあ、今週も引き続き、フェルケール博物館の中を椿原さんに解説していただきながら、ぶらっと見ていきましょう。
先週は、博物館の入口付近の展示物や、展示室1に入ったところにある航空写真を使った模型について教えていただきました。
椿原さん、このジオラマの隣に、逆針の船磁石というものが展示されていますが、こちらはどういったものなんですか。
船磁石、コンパスってよく言いますけども、木の枠のコンパスですよね。
日本の十二支は、子・丑・寅・卯・辰・巳・・・12まで数えられますよね、年齢を数えるものにもなってますけども、コンパスとか磁石とかっていうと、それが右回りで、時計もそうですけども、右回りで1 2 3 5 6って配列されてますよね。
これ、よく注意深く見てください。
子・丑・寅・卯・辰・巳が、通常は右回りに回るはずなんですけど、これ左回りに回ってますでしょ?普通のコンパスでは逆なんですよ。
ホントだ!時計とか見るときにはいつも右回りで見ていくので、なんだかも自分が読みにくいですね。
これはわざと反対の左回りのているんですよね。
どういった理由があって、そうなっているんでしょうか。
なぜ逆になっているかっていうと、子・丑・寅・卯・辰・巳・・・六時の方向、南側を指す方向を船に乗ったときに、舳先と言って船の先端部分に逆さにおくんです。
そうすると、コンパスの北を差す部分にある方向、方位、それが自分の乗っている船の進行方向、今、向かってる方位だよっていうのが、そのまま単純に目で見たときにわかるっていう優れものです。
進行方向を確認するために、逆さまにして使用していたんですか。
だから、逆針なんですね。
でもやっぱり、逆さになっていると普段は使いづらそうですね。
逆針のコンパスっていうのは、必ず船で使われたものになります。
これ、あの逆針のものはあまりないんですけどもね、どこかで見た見つけると、船で使ったものだと思って、思わず手に入れてしまいます。
あまり見かけないというか、船の関係者でなければ使わないものとなれば、かなり珍しいものなんですね。
この船磁石の近くに、何だか面白い形のものがありますね。
河原みたいな塊が展示されていますが、これは一体何ですか。
ちょっと見るとなんか、ナウマン象の歯の化石のような感じがするんですけども。
これは、大福帳といって、当時、江戸時代ですね、1冊の現金出納簿、何をいくらで買って、いくらで売ったとかっていう出納簿ですよね。それの帳面を使い終わった後に、何十冊まとめてで、ぐるぐる巻きにして、丸々太らせてあるんですね。
でも、紐で結んじゃってるんで、中は見れないんですけども、これを何十冊もお店の中に、お客さんが来たときに見える場所に積み上げておくんですよ。
そうすると、来た人がこのお店は繁盛しているなとか、それとかこの店は信用があるなとかっていうのが目で見てわかるじゃないですか。
ですから、大福帳っていう縁起のいい言葉をつけてあるんです。
2次利用ですよね。
大福部長って言うんですね。
一つでもたくさんの出納帳がまとめられているのがわかります。
お客さんからしたら、これがたくさん置いてあったら、それだけ取引が活発で、売り上げの多いお店ということがわかりますね。
取引を記録するだけに終わらず、それをアピールに活用しちゃうなんてやりますね。
ですから、本当言うと、紐を解いて、中をめくっていくと、その当時の清水の港の物流の様子っていうのが全部わかるんですよ。
ですから、横浜の港とか品川の港とか、港町の人たちが来てこれを開けて調べてくれっていうことをよく言われたっていうのは、これあの清水の廻船問屋の三保屋さんからいただいたものなんですけど、30個ぐらいあります。
船って港港に動きますでしょ。
だから清水の出納簿っていいますかね、大福帳を調べれば、ここからってどこに持ってったとか、他のところから出たものが、ここにどういうものが入ってたとかってのもわかるんですよね。
ですから開けてくださいって。
開けて見ればすごく研究が発達するいうことをよく言われます。
太平洋側って、ものすごくあの開発が早かったものですから、あまり残ってないんですよ。
ですから清水の港に、今、古文書とか、たくさんありますけども、これってすごく貴重なんですよね。
確かに!元々出納帳だからどこと取引があって、どれだけのものがやり取りされていたのか、結んである紐を切って、中にどんなことが書かれているのか見てみたい気もします。
でも、これを紐解いてしまうと、大福帳としての価値もなくなってしまういますので、ちょっと今このままにしておいてあります。
そっか、この形だからこそ、大福帳の価値があるし・・・葛藤ですね。
では、次の展示を見ていきましょう。
これは・・・駿府の漆器と書かれていますね。
これにはどんな歴史があるのでしょうか。
駿府の町って元々、あの漆器の町、漆の町として知られてたんですけども、実を言うと、こういったあの寄木細工も盛んに作られてました。
江戸時代の終わり頃はいいですよね。1840年代くらいにはもう、長崎まで、この漆器と寄木細工を持っていって、外国人に販売をした記録が残ってます。
今は、箱根が寄木細工の産地として有名なんですけども、実を言うと、この駿府の漆器が最初で、その職人の娘さんが箱根にお嫁に行って伝えたのが、箱根の寄木細工の始まりになります。
ええ、そうなんですか。
寄木細工といえば箱根というイメージだったので、元々駿府で発展したものだったなんてびっくりです。
よく見てみますと、駿府の寄木細工は上に漆を塗ってます。
ちょっと茶色っぽくなってますよね。
箱根の寄木細工は、お土産ものにもなってますので蝋を塗ってますですので、ちょっと白いんですよね。
見た目からでもちょっと違いがわかると思います。
静岡の場合はもう、職人さんがいなくなっちゃったのと、それから火事とか、戦争の空襲で焼かれてしまったので、今は残ってません。
ですので、こちらにあるのも、これはロンドンから里帰りをしたものになります。
これは明治の初めの頃の作品になりますけども。
レターボックスっていう形ですよね。
江戸時代までの日本の木製品にはこういった形のものはありませんので、おそらくは海外からのこういったものを作ってくれという要求で作られたものになりますです。
お茶と一緒にこういった寄木細工とか、それから漆の製品ですね、この博物館の周囲から積み込まれて、海外それから日本全国に渡っていったものになるいます。
細かい模様が綺麗ですよね。
海外からオーダーメイドで注文が来る理由もわかります。
こんなところに、日本の職人さんの技術の高さと、ニーズが感じられますね。
続いては、展示室2の方も見ていきましょうか。
このぶらっと清水の初回でもお話していただいた茶箱がずらっと並んでいてオシャレですね。
あれ?タバコの展示の横に缶詰記念館と書かれた道がありますね。
そういえばフェルケール博物館についてのお話の中に、缶詰記念館という名前が何度か出てきましたが、どんなものが見られるんでしょうか。
まだ行ったことがないので、ぜひ見てみたいです。
意外と見逃しがちなんですけどドアがありますので、ちょっと外に出ますけども、どちらも常設展示です。
はい、行きましょう。
はい。外に出ると、古い建物がありますけども、これ缶詰記念館です。
これ資料であると同時に、施設としても存在してます。
缶詰の歴史を紹介した場所になります。
博物館の建物とは別に、缶詰記念館があるんですね。
とても歴史を感じられる建物です。
以前の放送で、秋篠宮殿下がぜひ見てみたいとおっしゃってた缶詰記念館というのは、これだったんですか。
右側にですね、これあの黄色と黒のツートンカラーの鉄塔が立ってますけども、はいこれ、臨港線って言いまして、今のJRの清水駅から三保半島の先端までありました、国鉄の線路に置かれていた信号機になります。
廃線のときにいただいてきて、ここに設置をしております。
そうなんですね。
なんでこんなところに踏切のようなものがあるのかと不思議に思ってました。
昔、清水秋富邦結んでいた路線で実際に使われていたものだったんですね。
何気なく展示されていますが、これもまたとても貴重なものですね。
はい。
それじゃ何か入ってみましょうか。
缶詰記念館の中に入ってきました。
この建物自体も資料として、皆さんに見ていただきたいんですけども、昭和4年ですから、1929年にもう立っていた建物を移動して、それで、清水食品株式会社、今のSSKの前身ですよね。その事務所として使われていたものです。
はい・雰囲気もかなり昔の雰囲気漂ってますけども、缶詰記念館として使われています。
建物自体も展示物として自ゆっくり見ておきたいです。
中の展示物も詳しく見ていきたいところですが、お時間が来てしまいましたので、本日のお話はここまで。
椿原さん今週もありがとうございました。
来週は缶詰記念館の中を一つ一つ見ていきますので、お楽しみにです。